ウォーカー・エヴァンス(1903–1975)は、20世紀アメリカを代表する写真家です。看板、店先、住宅、街を歩く人々など、アメリカの日常を広く撮影しました。
1930年代の世界恐慌期には、農業安定局(FSA)の仕事で南部の小作農や貧しい家庭を撮っています。
本書は、1946年に雑誌『Fortune』のために撮影したシリーズ「Labor Anonymous」をまとめた写真集。
土曜日の午後、デトロイト中心部のとある塀の前を歩く仕事帰りの労働者たちを淡々と撮影しています。
捉えられた無名の市民たちの姿は、労働者という類型的な括りではありますが、個性的な肖像にもなっています。
当時の服装や人々の身振りの様子を伝える貴重な記録であると同時に、実験的な写真表現でもあります。
第二次世界大戦の終結から間もない頃の『Fortune』。
書店や裕福な家庭、あるいは闇市の古本屋、もし敗戦直後の日本でこの雑誌を開いた人がいたなら、デトロイトを歩く人々の服装や、豊かな紙面の向こうに見えるアメリカ社会を、どのような思いで眺めたのでしょう。
そこには、強い憧れや眩しさがあったのかもしれません。
そして、そのとき生まれた感情は、もしかしたら世代を経た現在の私たちの感覚にも、どこかで受け継がれているように思えます。
[condition] Like new, 古書(状態良好)
[Publisher] Walther Konig
[size]241 x 260 mm 163p
[Published] 2016
[Language] English