フランスの思想家ポール・ヴィリリオが、第二次世界大戦中にフランスを中心とする大西洋岸に築かれたドイツ軍の掩体壕(バンカー)を撮影・調査した代表作。
これらのバンカーは、連合軍の上陸や海上からの攻撃に備えて築かれた「大西洋の壁(Atlantic Wall)」の一部です。厚いコンクリート壁、外部を限定的に見るための細い開口部、低く重い形態など、すべてが防御・監視・射撃という軍事的な目的から生まれています。
ヴィリリオは、こうした構造物を単なる戦争遺構としてではなく、近代建築、軍事技術、都市、身体、速度の関係を考えるための装置として捉えました。彼は、交通や通信、兵器などの技術が高速化することで、人間の時間感覚や空間認識、都市や建築のあり方そのものが変化していくことを考察し続けた思想家です。
海岸に取り残されたバンカーは、今では軍事施設というより巨大な彫刻や遺跡のようにも見えます。無骨で異様なコンクリートの造形には強い視覚的魅力があり、写真集として眺めるだけでも十分に引き込まれます。
建築写真、戦争遺構、都市論、テクノロジー批評が交差する一冊。バンカーという特殊な建築を通して、20世紀の近代社会そのものを読み解こうとした、ヴィリリオの思想の原点ともいえる重要作です。
[condition] New / 新品
[Author] Paul Virilio
[Editors] Florian Ebner, Sophie Virilio, Jan Wenzel
[Publisher] Spector Books
[size] 約220 × 260 mm / 212p / Hardcover
[Published] 2025年
[Language] English
[ISBN] 978-3-95905-734-9